創設者であり祖父であるマルセル氏は第2次世界大戦が終わって間もない1950年頃まではサンテミリオン・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセBのシャトー・トロロン・モンドで働いていました。当時は戦争直後の経済不況が続いていて、給料は現金での支給ではなく、物資での支給が殆どでした。しかし最後のお給料代わりに頂いたのがなんと、シャトー・トロロン・モンドの畑、0.5haの畑と家でした。その後彼は頂いた0.5haの畑を「シャトー・マルソラン」(彼のマルセルという名前由来)と名付けます。一方で、マルセル氏は故郷となるコート・ド・カスティヨンでも12haの畑を所有していて、こちらのワイン造りも本格的にスタートします。そのシャトー名が「シャトー・ラ・クロワ・ペイレール」です。 当時から除草剤などを使う事をせず、出来るだけ自然な栽培で葡萄を育てていましたが、2000年にマルセル氏から現当主ドミニク・シュナード氏に変わると、その意思を継ぎ2007年からオーガニック栽培を開始。2010年にマルセラン、ペイレール共に有機認証マークも取得。その後も酸化防止剤についても極力控える造りを実行し、2018年からは酸化防止剤を一切入れず、ナチュールワインへの転換を実行しています。 ドミニク氏は言います。正直、ビオやナチュールへの取り組みがここまで大変だとは思わなかった。だけど、そんな時、自分自身に言い聞かせるんだ。自分の哲学を。それは「人間が自然の一部であり仲間である」という考え。人間と動物、植物、土の結びつきやサイクル、生物多様性を考え尊重するのが彼の哲学であり、今日までこのベースの哲学を堅く信じ畑での仕事の取り組みをしています。
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