ガイヤックはフランス南西地方の生産地です。赤ワインで有名なカオールから南東に90km程にガイヤックの中心地があります。葡萄栽培の歴史は古く、972年に市ができる前から葡萄園が広がっていました。1938年にAOCに認定されていることからも歴史の長さを感じる事ができます。産地はガロンヌ川に合流するタルン川の両岸に広がり、右岸は花崗岩や石灰岩でフレッシュで果実味のある赤と白を生み出します。そして、左岸は砂利質で厚みのある赤ワインが中心となっています。レ・ヴィニャルは、右岸のワイナリーで、このエリアらしい丘陵地で土着品種を中心に栽培しています。1980年代にこのエリアとしては先駆的にオーガニック農法を取り入れましたが、一時的に慣行農法になりました。その後、改めて有機栽培に取り組み、2003年に認証を取得しています。そして、現当主のオリヴィエ・ジャン氏が2013年にチームに加わってからは、よりオーガニックにこだわるようになり、現在はデメテール認証取得に向けてビオディナミ農法を取り入れています。ワイナリーの哲学は3つあり、テロワールに経緯を払うこと、ワイナリーのチームを大切にすること、そして、次世代に土地とワイン生産を引き継いでいくことです。AOPガイヤックとIGPコート・ド・タルンになる様々なワインを生産し、栽培品種は、モーザック、ミュスカデル、ラン・ド・レル、フェル・セルヴァドゥ、デュラスなど土着品種を中心としています。
~南西地方の土着葡萄について~
・ラン・ド・レル(Loin de L’oeil) 種
白ブドウ品種で「ロアン・ドゥ・ルイユ」種とも呼ばれる。ガイヤック原産の葡萄品種。香りは青りんごや洋梨を連想させ、糖度は高く、酸味は低めの為、熟成させるよりも、若いフレッシュな状態にこのブドウ品種のポテンシャルが感じられます。主に南西地方の辛口白ワインや甘口白ワインの補助品種で使用されます。
・デュラス(Duras)種
黒ブドウ品種で、ガイヤックエリア中心に栽培されています。黒いスパイスを感じる香りが印象的で、しっかりとしたタンニン、高いアルコール感のある飲み口が特徴です。病気に弱い為大量生産が難しく、主に補助品種として使用されます。
・ブローコル(Braucol)種
黒ブドウ品種で、バスク地区原産(所説あります)と言われ、別名フェル・セルヴァドゥ種、マンソワ種とも呼ばれます。
カベルネ・フラン種とよく似たパプリカを思わせる香りが印象的で、中程度の果実感、酸味はとても綺麗。単一品種で造られるワイン「AOPマルシヤック」は、特にその品種のポテンシャルを感じることが出来ます。
番外編
・ミュスカデル種(Muscadelle)種
白ブドウで、主にボルドー地方や南西地方で使用される品種。華やかな香りで糖度が高く、貴腐葡萄として使用されることもあります。尚、似た語源の品種「ミュスカデ」や「ミュスカ」とは別品種です。
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