ペルナンヴェルジュレス村からほど近い、エシュブロンヌ村に本拠を構えるドメーヌ。1960年代の先代の父の時代は、ドメーヌとして12haを所有していたものの、ワインの生産量は年産約3万本ほどで、育てた葡萄の半分以上はネゴシアンに桶売りをしていました。しかし1989年に息子ジャン・ミシェル氏が当主となると「時代は変わっていく。これからは葡萄を売る時代では無く、ドメーヌとして質重視にワインを造っていく時代」と一念発起。元々所有していたサヴィニ・レ・ボーヌやサヴィニ・ヴェルジュレスなどの畑に加え1999年にシャンボール・ミュジニーの畑を購入すると、全所有面積15haの畑からすべてドメーヌ元締めの生産にし、畑は農薬を使用しない主義としました。ジャン氏は葡萄栽培から醸造まで一手に行っていますが「ワイン造りするうえで、最も重要なことがある」と言います。それは「収穫した葡萄の選果台での選別」です。収穫した葡萄で少しでも痛んでいるものは迷うことなく排除する。結果的に良質な葡萄だけが残るのだが、その選別された良質な葡萄だけで造ったワインは格別に美味い。例えばシャンボール・ミュジニー。この村のワインの特徴は女性的な煌くハーモニーだろう。そのテロワールを引き出す最大のポイントは如何に良質な葡萄だけで造れるか、つまり選果台での作業に尽きる。これを完ぺきにこなすことで、醸造で使用する酸化防止剤(So2)は少量に留めることが出来る。本当に少しでも腐敗している葡萄は排除するんだ。だから結果的に1haあたり35~40hlの収量になってしまう。でも僕は綺麗な果実感のあるワインが好きだから、それでいいと思っている。収穫した良質な葡萄は100%除梗する。野生酵母を使用しての発酵。更に果実のハーモニーを隠すことになる新樽は10~15%程度にとどめる。結果、出来上がるワインは煌くハーモニーが感じられるワインとなる。」とジャン氏は説明してくれました。「ワインに求めるものはハーモニーだよ」と目をキラキラさせながら話すジャン氏はとても嬉しそう。「自分のワインを美味しいと言って飲んでくれる方の姿を見るのが一番の幸せ」と話すジャン氏。日本にはまだ来たことが無いが、是非扱って頂けているお店に伺ってみたいとおっしゃっていました。 最後にエシュブロンヌ近郊では昔から良質なフランボワーズやカシスが採れる銘醸地でもあります。そういった背景から歴史をリスペクトし、バニラアイスやスパークリングワインに混ぜて美味しいフランボワーズやカシスのリキュールなども造っています。現在は年産約7万本のワインをフランス国内、または海外に輸出しています。
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